危険!パッと見ただけではわからない基礎工事の欠陥例6選
重量のある建物を建築するときには「基礎」を作ります。その名の通り、建物の基礎となる部分で非常に大切な役割をもちます。
しかし、建物を建築すると基礎の状態がみえなくなることから、欠陥があったとしてもなかなか発見できません。
本記事では基礎工事の欠陥例6選、欠陥を防ぐ方法について解説しますので、建物を新築する予定のある方は、ぜひ内容を参考にして欠陥防止にお役立てください。
基礎が大切な理由
建物の基礎が大切な理由は、以下のとおりです。
- 建物を支えるから
- 地震の被害を抑える効果があるから
- 湿気や水から守ってくれるから
基礎の重要性を理解すれば、欠陥を未然に防ぐ意識が高まるでしょう。
建物を支えるから
基礎は建物の重量を分散させ、地盤沈下を防ぐ効果があります。
一般的な戸建て住宅の重さは、以下のような重量があるといわれています。
- 木造:30〜40トン
- 鉄骨造:37〜50トン
- 鉄筋コンクリート造:150〜200トン
※建物重量と家具重量の合計目安
このように住宅は木造でも相当な重さとなり、地盤沈下や不同沈下を発生させてしまいます。どちらの事象が起きても家が崩れたり、傾いたりして住むのが困難になるおそれがあります。しかし、基礎があれば重さによる力を分散してくれるため、住宅が傾くことなく支えられるわけです。
地震の被害を抑える効果があるから
基礎は地震の力が最初に伝わり逃げていく部分であるため、強固なものにしておけば地震の被害を抑えられます。
気象庁の「令和4年12月地震・火山月報(防災編)」によると、2022年に日本で発生したM6.0以上の地震は19回も起きているとされています。大地震が発生すると、建物倒壊や家具の転倒により命を失う人もいます。
基礎が強固であれば強いエネルギーを与えられても割れず、建物を支え続けてくれるはずです。
また、地震のエネルギーは基礎から建物の柱、柱と梁の接合部分に伝わり、基礎に逃げていくという性質をもちます。そのため、接合部を補強することでより一層、地震に強い家が完成します。
湿気や水から守ってくれるから
基礎のコンクリートで地面を覆えば、地中から上がってくる湿気を防いで建物の腐食を抑えられます。
日本は高温多湿な気候なうえに豊富な地下水量を誇るため、地中からの温度の高い水蒸気が上がります。土地と建物の間に高温多湿な湿気が溜まると、木にカビが生えたり鉄の腐食が進み、構造の耐久性が低下する原因になります。
しかし、ベタ基礎のように床下をすべて鉄筋コンクリートで覆っておけば地中からの湿気を防げます。布基礎のように土がむきだしになっているものを選ぶ場合は、湿気が逃げる構造にするといった対策が必要となります。
基礎工事の欠陥例6選
基礎工事の欠陥例は、以下のとおりです。
基礎の欠陥例はいくつもあるため、どのような事例があるのか理解しておきましょう。
スリーブ周りのかぶり厚が不足している
基礎のスリーブ周りのかぶり厚が不足していると、厚みの足りない箇所が割れて鉄筋が錆びやすくなります。
スリーブとは鉄筋コンクリート造の基礎や壁にある、給水管といった各種設備配管用の貫通穴を確保するための筒状の管です。また、かぶり厚とはコンクリートのなかにある鉄筋や配管の表面からコンクリートの表面までの厚さです。
スリーブから極端に近い位置に鉄筋があると、かぶり厚が不足しやすくなります。
基礎のかぶり厚の確保方法がずさん
基礎のかぶり厚を確保するためにスペーサーを使ってきちんと計測しますが、ケースによってはずさんな方法で厚さを測ることがあります。
スペーサーとは、鉄筋が飛び出さないように図る丸型の器具です。スペーサーの種類によってはかぶり厚が計測できるものもあります。
通常はかぶり厚が正確かスペーサーで測りつつ作業を進めますが、職人によっては使わずに感覚で作業する人がいます。確保しなければならない厚さが足りないと、コンクリートの割れにつながるかもしれません。
主筋が定着していない
主筋が定着していないと強い揺れで基礎に割れが発生します。
主筋とは鉄筋コンクリート造の建築物の曲げ力に対抗する鉄筋です。主筋はコーナーの部分を曲がって囲むような形状になっており曲げ力に対抗しています。しかし、現場によっては主筋がコーナーで切断されており、定着していないケースがあります。
主筋がコーナーで切断されていると揺れに弱くなり、切断部分からひび割れを起こして建物が倒壊するかもしれません。
ガラやゴミが残置されている
ガラやゴミをそのままにしてコンクリートを打設してしまうと、割れやすい基礎になってしまいます。
コンクリートは表面をキレイに仕上げれば、中身に何が入っているかわかりません。そのため、悪質な施工会社は基礎のコンクリートのなかにコンクリートの破片やゴミを放置したまま打設することがあります。
当然ながらゴミがあると、強固な基礎にならず割れの原因となります。
アンカーボルトの高さが不足している
基礎から出ているアンカーボルトの高さが不足していると、きちんと建物と接合できず耐久性が下がります。
アンカーボルトとは、木造の土台や鉄骨造の柱脚部などを基礎と繋ぐステンレス製の棒状金物です。アンカーボルトと建物がきちんと接合していないと、地震や風圧によって建物と基礎がずれてしまいます。基礎と建物がずれてしまうと、ちょっとした振動などで建物部分が傷んでしまいます。
ジャンカが発生している
コンクリートを型枠に流し込むときに空気抜きができていないと、ジャンカが発生してしまいます。
ジャンカとは、コンクリート内部の砂利や石が固まらずに表面に出てしまった状態のことを指し、豆板と呼ばれるケースもあります。ジャンカになった部分は、もろくひび割れの原因ともなり危険です。
また、コンクリートはアルカリ性質をもっており、鉄の酸化を防止するのにも役立ちますが、ジャンカした部分は中性化しやすく鉄筋の錆びにつながります。鉄筋が錆びると基礎の耐力が低くなり、建物に悪影響を及ぼします。
基礎工事の欠陥を防ぐ方法
基礎工事の欠陥を防ぐ方法は、以下のとおりです。
- 建築現場を頻繁に訪問する
- 建築会社の評判・口コミを確認する
- ホームインスペクションを実施する
対策法を理解し、基礎の欠陥を防止しましょう。
建築現場を頻繁に訪問する
建築現場を頻繁に訪問して工事の状況を監視しているという雰囲気をつくれば、職人が手を抜かずに作業するようになります。
ただし、監視している雰囲気を出すには、設計図を確認しつつ基礎の欠陥について知識があることを周知するように行動しなければなりません。
ハウスメーカーの担当者と世間話して現場をみているだけでは、意味がないことには注意しましょう。あくまで基礎工事の欠陥に気付く可能性がある人だというのを、周りに理解させる必要があります。
建築会社の評判・口コミを確認する
基礎工事の欠陥を防止するには、評判・口コミで建築会社の体質を知るのも重要です。
建築会社の担当者に体質を聞いても、良いことばかり言って本質を見抜けません。そのため、評判・口コミを収集して建築の質がどの程度なのか調査します。
調査した結果、基礎工事の欠陥が多いというような情報が散見されているのであれば、その建築会社自体利用するのは辞めたほうがよいでしょう。
ホームインスペクションを実施する
基礎工事の欠陥を自分でみつけるのが難しいと感じた場合は、ホームインスペクションを利用しましょう。
ホームインスペクションとは、住宅の施工や劣化などの状態を住宅診断士といった第三者の専門家がおこなう調査です。ホームインスペクションを実施すれば設計図どおりに基礎が建築されているのか、現場管理がしっかりとなされているかどうかがわかります。
ただし、ホームインスペクションを実施するには費用がかかる点には注意しましょう。実施する会社によって金額は異なるため、早めに調査会社に相談しておくことが大切です。
まとめ
建物の基礎は、住まい全体の安全性を支える極めて重要な要素です。万一欠陥があれば、構造の損傷や重大な事故につながる恐れもあります。施工中にできるだけ現場を確認したり、必要に応じて第三者の検査を入れることで、トラブルのリスクを大きく減らせます。基礎からしっかり安心できる家づくりを目指しましょう。